スーツ選びではシルエットやデザインに目が行きがちですが、生地選びも非常に重要です。素材や織り方によって見た目や着心地、季節感が大きく変わります。そのため、スーツ生地の素材の種類とその特徴や、良い生地を見分けるポイントなどを知ることが、納得のいく1着を仕立てるための鍵となります。
スーツ生地を選ぶ前のチェックポイント
オーダースーツの生地を選ぶ際には、単に好みだけで決めるのではなく、事前にいくつかのポイントを整理しておくことが大切です。スーツを仕立てる目的を明確にする
まず、スーツを仕立てる目的を明確にすることが重要です。ビジネス用であれば、誰にどのような印象を与えたいのかを意識することで、専門スタッフから適した生地を提案してもらいやすくなります。たとえば、取引先担当者との関係を重視する場合は爽やかな風合いが好ましく、役員や社長と接する機会が多い場合は上品で洗練された生地が向いています。着用する季節・シーズンを考慮する
次に、着用する季節やシーンを考慮することも欠かせません。スーツには「春夏用」「秋冬用」「オールシーズン用」があり、それぞれ通気性や保温性、色味が異なります。春夏用は明るく軽やかでプライベートにも応用しやすく、秋冬用は落ち着いた色合いで重厚感のある仕上がりになります。一方でオールシーズン用は便利ですが、季節感を意識する場面では少し違和感が出るかもしれません。デザインイメージを事前に整理する
さらに、デザインや色柄のイメージも事前に整理しておくとスムーズです。シングルスーツはスタンダードで幅広いシーンに適しており、ダブルスーツは重厚感がありフォーマルな印象を与えます。色選びでは、ネイビーやグレーの濃淡にも注意すると良いでしょう。明るめの色は華やかで若々しい印象を与えますが、カジュアル感が強くなる場合もあります。実際に生地を肩からかけてみる
最後に、実際に生地を肩からかけてみて、自分の肌や顔色との相性を確認することも重要です。肌や瞳、唇の色に調和するパーソナルカラーを意識することで、顔色が明るく見え、全体の印象を引き立てられます。サンプル生地を多く用意しているお店で相談しながら選ぶと、失敗を防ぎやすく、より自分に合ったスーツを仕立てることが可能です。スーツ生地の素材の種類
ここからは、スーツ生地の素材の種類についてみていきましょう。代表的なのは、ウール、ウール以外の天然繊維、化学繊維です。ウール生地の特徴
スーツ生地の代表的な素材として最も一般的なのはウール(羊毛)です。ウールは使用する羊毛や紡ぎ方によって性質が大きく変わり、主に「梳毛糸(そもうし)」と「紡毛糸(ぼうもうし)」の2種類に分けられます。梳毛糸は、細く長い羊毛を揃えて丁寧に紡いだ糸で、表面が滑らかで自然な光沢があり、ビジネススーツやフォーマルスーツに多く用いられます。一方、紡毛糸は太く短い羊毛をランダムに絡ませて紡ぐため、空気を多く含み温かみや柔らかさが特徴的です。ツイードやフランネル、サキソニーなどのジャケットやコート向きの生地に適しています。さらに、ウール生地は織り方によっても風合いや機能性が変わります。代表的な平織は、経糸と緯糸が交互に交わるシンプルな構造で通気性が良く、軽やかで春夏向きです。
フレスコやトロピカルなどの生地がこの平織に該当し、通気性・耐久性・シワ耐性に優れ、ビジネスマンに人気です。対して、綾織は経糸が斜めに浮き沈みすることで斜めの畝が現れ、生地に厚みとコシが出ます。光沢も自然に出やすく、耐久性や保温性に優れているため、秋冬向きのギャバやサージ、フラノなどに使用されます。